「皆さんが年齢を重ねて、障害を持ったり認知症になったりした時、自分のことは自分でしたいですか。人の世話になりたいですか」と、大勢に質問してきました。「自分のことは自分でしたい」という答えがほとんどでした。特に排せつの援助は、ほぼ全員が「できるだけ受けたくない」と答えます。
「もし排せつの援助をしてもらう必要が生じたとしたら、どんな気持ちになるでしょうか」と問うと、恥ずかしい、嫌だ、申し訳ない、プライドが傷つけられる、水分を我慢する…といった答えが返ってきます。
日常の場面で、排せつのケアには配慮が必要です。施設では現在、できるだけ自立的に排せつをしてもらえるよう、ご本人のリズムを記録し、さりげなくトイレへ誘導したり、おむつをしている方にもトイレでの排せつを促したり、水分を多く取ってもらったりと、さまざまな取り組みをしています。
一方で気になることもあります。それは、ご利用者をトイレにお誘いする時、他の人に聞こえるような声で話したり、「本当に出たの!」といった配慮のない言葉遣いや態度です。
私たちの法人では新人職員研修の中で、おむつに排せつする体験を家でしてくる研修があります。今年の新人職員の経験後の意見を拾ってみると、「違和感や抵抗感が強くあり、嫌という気持ちばかり。ご利用者の不快感などが少し分かった気がします。汚れたらすぐかえてあげたいと思う」「誰もいなくても、すぐ排尿できなかった」「排尿でぬれてしまい、一瞬でも不快なのに、時間がたてばとても我慢できないと思う」「とても不快だった気持ちを忘れずに、ご利用者のケアを行っていきたい」などでした。
新人職員にはこの経験を忘れずに、ケアの現場で働き続けてほしいです。同時に心ならずも排せつの援助を受けなければならないご利用者の気持ちを第一に考え、私たちは日々接していきたいと思います。