「あなたが年齢を重ね、障害を持ち、施設に入居することが必要になったら、自分の勤務する施設に入居したいと思いますか？」
私が今まで、介護現場で働く多くの人に投げかけてきた問いです。その反応はといえば、ほとんどの人が自分の勤務する施設に入りたくないと答えます。「どうしてですか？」と問いを続けると、
「プライバシーがない。起床や食事の時間が決まっている」
「お風呂に毎日は入れない」
「外出が自由にできないし、ほとんど家に行けない」
「日課が決まっていて、自分のリズムで生活できない」
といった理由が挙がります。
しかし考えてみると、こうしたことは、どこかおかしくないでしょうか。
私たちはその施設で働いて、ご利用者の皆さんの生活支援をしているのです。これでは、自分は嫌だけれど、他の人（ご利用者）は甘んじて受け入れろと考えているのと同じことではないでしょうか。
私たちが目指していくべき施設は、「自分が入居しても良い施設」だと思います。それは、どのような施設でしょうか。
「プライバシーが保障されている」
「自分のリズムで生活できる」
「友達に会える」
「家にいた時に利用していた美容院に行ける」
などなど、何も特別なことを行うのではありません。「今の私が普段していることができる施設」が求められているのではないでしょうか。
