川崎市の介護付き有料老人ホームに入居されていた3人の方が一昨年、不自然な形で相次いで転落死し、そして元職員が殺人容疑で逮捕されました。人生の最後の時期に、この施設を選んで入居され、不幸な亡くなり方をされたことは、あまりにひどいことで強い衝撃と憤りを覚えました。
この施設をめぐっては、職員が入居者に虐待をしている場面の動画も流され、大変ショックを受けました。また、この事件に関連する報道などで、介護現場のストレス、人手不足、勤務実態などが多数、取り上げられました。こうした介護現場を取り巻く厳しい環境についてはもちろん、私も同意できる部分が多くあります。
事件は捜査中であり、断定的なことは申し上げられませんが、今回は殺人事件です。どんな理由があっても、人が人をあやめるという行為は、絶対に許されることではありません。
そうだからこそ、事件に関連して「介護現場が厳しいから、分かる気がする」「それは一歩間違えば、私だったかもしれない」などと、一見納得したようになされる発言を聞くと、私は違和感を覚えます。介護現場で働く者たちの圧倒的多数は、厳しい環境の中にあっても一生懸命、やりがいとプライドを持って働いています。
事件の背景にあるものは徹底的に解明し、対策を立てていく必要があります。一方で、殺人という許されない行為に対しては事実を明らかにし、事件により命を奪われた3人の方とご家族の人生や生活を断ち切った、取り返しのつかない意味を、しっかり受け止めていく必要があると思います。
介護現場で働く者たちに、励ましとねぎらいをもって接していただき、その環境の改善に努めていただけないでしょうか。私も微力ではありますが、介護現場が今より良くなるよう環境改善に取り組んでいきたいと思います。